タウンニュース青葉区版 人物風土記に紹介されました
December 06, 2017
同世代に響く音楽を
○…全国を舞台に活躍するチェリストでありながら、あえて今、地元青葉区に目を向けた。
オールディーズや往年の映画音楽など、シニアにとって懐かしくなる曲を中心にしてコンサートを初開催する。
「自分の同世代を元気にする起爆剤にしたい。年をとって体力は落ちたかもしれないけれど、懐かしい音楽を聴いて心が元気になってもらえれば」
○…新宿区出身。音楽好きな父の影響でバイオリンを習い、物心ついた頃から「将来は音楽家になると思っていた」。
深い音色に惹かれて小6でチェロに転向してからは音大を目指す日々。
「練習を休めないから家族旅行にも行けなくて。暗い青春時代だった」と振り返るほど練習漬けだった。
そんな生活に彩りを持たせてくれたのがラジオ。
「オールナイトニッポン」などを聴き、洋楽のランキングをメモしていた。
「クラシックもポップスも好きだったね」と笑みをこぼす。
○…「僕ほど色んなジャンルをやった人はいないのでは」と言うほど、幅広い音楽に携わってきた。
桐朋学園大学を卒業後、スタジオミュージシャンへ。ザ・タイガースの演奏にも参加した経歴の持ち主だ。
一方、クラシックの世界ではオーケストラの首席奏者も歴任。短大の特任教授として指導者も経験した。
転機は60代半ばを過ぎた頃。自身と同じ団塊の世代がリタイア後は家に閉じこもってしまっていることを知ってからだ。
青春時代の音楽なら、同世代も元気になってくれるかもしれない―。
若手演奏家に声をかけ、ポップスを演奏する「SAKUYAグランド・オーケストラ」を立ち上げ、今回もそのメンバーと共に演奏する。
○…コンサートがライフワークで「趣味と活動が一緒になっている」と笑う。
「これまでは音楽家として自分が好きな音楽をやっていた。
今は目の前のお客さんを喜ばせるのが楽しい」とにっこり。
「愛着のあるまちに恩返しができれば」とそのまなざしは優しい。